薫りの継承 (下) (ビーボーイコミックスデラックス)

薫りの継承 (下) (ビーボーイコミックスデラックス) の詳細

この、マンガが、中村明日美子さんの著書の中で一番好きだ。何度も何度も読み返しているがその度に新たな伏線に気づかされ、この物語への愛着が増していくのを感じる。 プライドが高く、世間体を気にしがちな、側から見て完璧兄。自分に自信が無い、影キャの弟。すれ違いを重ねる二人の義兄弟が…実は…、というお話。よくある、BLストーリーのようだが、中村明日美子さんが描く言葉と絵で、心が揺さぶれ、胸がぎゅんとなる美しい完成度の高い物語となっている。 兄弟の否応が無く、二人を結びつけてしまう匂いを、香水で表現するのも、美しい。最後のシーンの手紙の文章で、涙腺が崩壊してしまった。プライドが高い兄、いつも、目隠しをして、お互いを貪るような、お互いをぞんざいに扱うような、そんな二人が、お互いへの思いを言葉で表現することが出来なかった兄が、やっと、最後に、出した言葉に、胸が打たれた。 兄が死を求めず、二人の蜜月がもっと続いて、幸せであったならばと何度も夢想するが、、、やはり、この物語は、、暗い終わり方だからこそ、心に尾を引き、何度も読みたくなるほどのものとなっているのかもしれない。あー、もっと、読みたい、もっと、このような、お互いへの思いを必死に堪える人たちを見たい。中村明日美子さん。ありがとう。こんな、物語を作ってくれて。