精神医学の羅針盤

精神医学の羅針盤 の詳細

座談会がまとめられた本。普段の本とは異質な雰囲気で進んでいくのではじめは違和感が強かったが，臨場感あふれる対話の中で先生方の問題意識が強く発露していく流れに引き込まれた。テーマは「精神科」だけれども，内科医として考えなければならないことがたくさん書かれていた。たくさんのヒントがあった。●以下，感想・日本語という思考体系は論理構造がよくもわるくも不明瞭な傾向がありcritical thinkingが比較的不得手。海外との文化の違いでは端々にその違いが見える。・EBMは「患者に適応する」というSTEPがもっとも大切だとどの勉強会でもいわれるけれど，腹に落ちてこないこフレーズ。「自分のやっていることは正しいの？」というcritical thinkingが根っこにあるのだろうけれど，そういった不安感は日本にはなじみにくいのかも。・「正解が存在する」という信仰が，研究会でも指導現場でも支配的な印象。正解はないかもしれない，という不安定さがもっとあってもいいと個人的には感じる・カルテの共有が必要だと思う。闇がありすぎるのはよくない・操作的診断基準の罪，という話は聞いたことはあったが，腑に落ちていなかった。本を読んでそこがわかった気がした。